加野尚志画集 平成長崎風景

著者/加野 尚志さん

絵画家加野尚志先生の初画集「平成長崎風景」

二紀会委員で長崎県展審査員も務められている油絵画家加野尚志先生の初画集「平成長崎風景」が出版されました。
加野先生は、一九四三年、現在の福岡県太宰府市生まれ。
武蔵野美術大学造形学部美術科で油絵を専攻。
卒業後は美術教師として、対馬市の小中学校を皮切りに県立口加高校、県立長崎東高校、
県立琴海高校を経て県立長崎西高を最後に教職生活を終えます。
定年後は、加野絵画教室(西の会油絵教室)を設立し、
後進の指導・育成にも取り組まれ、現在長崎を代表する画家のひとりとしてご活躍中です。
今回の「平成長崎風景」画集発刊にあたりその想いを巻頭言よりご紹介します。

「父親の転勤のため、一家で長崎に転居したのは、昭和33年、中学三年の夏でした。
当時、この街全体が異国情緒と昭和レトロの猥雑さとが一体となり、独自の風情を醸し出していた。
「炭坑舎」という木造2階建ての洋風建築があった。
これは後世に遺すべき大事な建築であると思ったが、いつの間にか無くなっていた。
(当時描いた絵が残っている。)
昭和の長崎に対するノスタルジックな想いもあるが、失ったものと新たに加わったものが融和しながら多くの魅力を発散し続ける。
絵になる風景が至る所にある。
日々その中で暮らしていると無感動になっている。
絵画教室の生徒の風景取材に付き合ううちに、改めて「平成長崎」の魅力を肌で感じ、この風景を油絵で遺しておきたい思いに駆られた。」

こうして平成二十六年秋より、本来の「静物」の制作をほぼ中断して、五十五点の作品が、二年半の歳月をかけて描かれました。