著者/佐藤 房枝 遺稿集
天国のおかあさん、
みんなからのお別れの言葉届いたかな
長年、助産婦としてたくさんの新しい生命と向き合ってきた母
最後のお別れに、みんなの感謝と思い出の言葉を出版
お母様は、助産婦さんとして活躍されたそうですね。
はい、父を早くに亡くしてから、私たち子ども4人を育てながらの生活で、最初は農作業をしながらの助産婦、暇さえあれば土木作業、看護師と年老いてからも勤めていました。
そんな母は、涙を流す暇はなかっただろうと思います。よく、「苦あれば楽あり、楽あれば苦あり」と話していました。弱音を吐くことも一度もなく、強くて頼もしい母でした。
今思うに、生きているうちに、もっと親孝行しておけば良かった、もっと話し相手になってあげれば良かったとつくづく思います。
タイトルの「あいば、行たてきなさい」ですが、どうしてこのタイトルにされたのでしょうか?
標準語で言うと「それじゃ、行ってきなさい」となりますね。母は、私が仕事に出かける時はいつも「あいば、注意して行かんばたい。きつかろうばってんねぇ」と言って見送ってくれていました。毎日寒くても外に出て手を振ってくれました。
その日の朝も、いつものように「あいば、行たてきなさい」と、玄関先で見送ってくれて、私は「まだ寒かけん、また寝いしゃいね」と言い残しバタバタと出かけ、私は、それが母と交わした最後の言葉となりました。
今回の遺稿集は、皆さんからのメッセージになっていますね。
はい、49日の法事やその後、皆様に無理をいって思い出を書いていただきました。それを一冊の本にと思い、出版しました。
みなさん一人ひとりのメッセージを読んでいると、誰からも愛され、素敵な方だったのが伝わってきます。お仕事の合間をぬって、本にまとめられた娘さんの美奈子さんも、明るい素敵な方でした。